遊星ローラ減・増速機

遊星ローラ減・増速機(TR DRIVE)

ギヤドライブの限界を遙かに超える
トラクションドライブ

遊星ローラ減・増速機は、遊星機構三要素を精密なローラにし、その転動⾯を⾼⾯圧で接触させ、転がり運動によって形成される⾼粘度油膜のせん断抵抗(トラクション⼒)を利⽤する画期的な伝動装置です。

早くからこの転がり伝動装置の可能性に着⽬、独創的なメカニズムを考案し、開発研究に着⼿して1980 年世界に先駆けて商品化・シリーズ展開を図り、従来の⻭⾞機構の限界を超えるギヤレスのトラクションドライブとして、現在回転⾼精度分野をはじめ多くの先端分野において採⽤されています。

トラクションドライブ
遊星ローラ
遊星⻭⾞

遊星ローラ減・増速機(TR DRIVE)の特長

(1) 回転ムラ極⼩を実現

⻭⾞はその構造上、⻭のかみ合いのため、回転⾓度伝達誤差 ・回転速度変動が⼤きくなり、ギヤマークや位置決め精度不良の原因となっていました。TR DRIVE はローラの組み合わせで、滑らかに回転し動⼒を正確に伝えます。

サーボモータの回転⾓度を正確に減速
回転変動の少ない滑らかな回転を実現

(2)ノーバックラッシを実現

TR DRIVE は転がり伝動⽅式。優れた正逆転応答性でノーバックラッシを実現します。⻭⾞機構で⽣じる正逆転時の位相のズレを完全に解消、正確な動⼒伝達制御を可能にします。更に、⻭⾞より⾼いねじり剛性が得られるため、負荷時の回転⾓もより正確に伝えることが出来ます。

ノーバックラッシを実現

(3)振動・騒⾳が抜群に⼩さい

⻭⾞伝動では、ピニオンとギヤのかみ合いにより⼤きな騒⾳ ・振動が発⽣します。TR DRIVE は、ローラが油膜を介して回転動⼒を伝達するため、低振動。しかも負荷に伴う変形率も⼩さいため、負荷変動に対する騒⾳ ・振動値の変化もほとんどなく、負荷−無負荷時を通して低騒⾳ ・低振動を実現します。

振動・騒⾳が抜群に⼩さい

トラクションドライブの⾖知識

1トラクションドライブの構成部品

トラクションドライブの構成部品

2トラクションドライブの動⼒伝達

トラクションドライブの動⼒伝達は、低圧下では通常の潤滑油と同様の特性を⽰し、極圧下では分⼦が整列し、急激に粘度が上昇する(ガラス状となる)トラクションオイルの性質(せん断抵抗=トラクション⼒)を利⽤しています。必ず指定の潤滑油(トラクションオイル)をご使用下さい。

ローラ間の油膜は弾性変形を伴うため、トルクの⼤きさに応じて微⼩すべり(定格負荷に対して1 段あたりΔS≦0.2%)が発⽣します。

トラクションドライブの動⼒伝達

3トラクションドライブの速⽐

トラクションドライブの速⽐は、⻭⾞のように⻭数⽐ではなく、ローラの直径⽐で求められます。

トラクションドライブの減速⽐

また、ローラの製作誤差やトラクションオイルの性質により、下記に⽰すような範囲の速⽐変化が⽣じる可能性があります。

速⽐変化率
トラクションドライブは、油膜の弾性変形を伴うせん断抵抗⼒(トラクション⼒)によって動⼒を伝達するため、負荷の状態により速⽐が変化します。

トラクションドライブの速⽐変化率

TR DRIVE では、この速⽐変化率を遊星ローラ1 段当り0.2%以下に抑えています。
減速⽐5 の場合: i=5×(1+0.2%)=5.01

速⽐製作誤差
ローラ部品の直径製作誤差により速⽐が変化します。この速⽐の誤差を速⽐製作誤差と呼びます。
TR DRIVE では、速⽐製作誤差を段数に関係なく±0.8%以下となる様に抑えています。
減速⽐500(3 段減速)の場合: i=500×(1±0.8%)=496〜504

トラクションドライブの速⽐製作誤差